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連載第67回 10代の日本人チェリストが活躍! in Amsterdam

日本人演奏家たちのヨーロッパでの活躍は、今となっては決して珍しいものではありません。近年、その年齢はより低くなる傾向にあります。

 

2025年の夏、10代の若い日本人チェリストがオランダで大きな注目を浴びました。オランダの若い才能を発掘する名門ホールでのコンクール、そしてアムステルダムの邸宅で開かれたコンサートをレポートします。

邸宅でのハウスコンサート開催

2025年8月23日に、アムステルダム中心地にある住宅でハウスコンサートが開かれました。
会場となったのは、以前は学校として使われていたアパートメントの一室。巨大なソファがいくつも並ぶリビングルームは広すぎて、向かいの壁が遠く感じるほどの邸宅です……!

出演したのは、12歳(出演当時)のチェリスト髙田ぼたんさんとお母様でピアニストの髙田茜さん。ぼたんさんはオランダ・ハーグ生まれの日本人チェリストで、今夏オランダ国内で話題をさらったジュニアプレーヤーの一人です。


髙田ぼたんさんは日本人として初めてオランダ・アムステルダムのコンセルトヘボウが主催するコンセルトヘボウ・コンクール(Koninklijk Concertgebouw Concours)で優勝し、注目を浴びています。

コンセルトヘボウ・コンクールとは?

コンセルトヘボウ・コンクールは9歳から14歳までのジュニアプレーヤーを対象に、オランダを代表する音楽ホールであるコンセルトヘボウの小ホールを会場に、2009年から年に一度開かれています。


弦楽器だけではなく、管楽器やピアノでも、音楽ジャンルを問わず参加可能なこちらのコンクール。2025年の第17回コンセルトヘボウ・コンクールは6月に開かれ、約200人が一次選考に応募しました。選考はYouTube上に各応募者がアップロードした動画を通して行われました。応募のハードルを低くすることで、より多くの参加者を集める工夫がなされています。


隣国ベルギーで開かれる名門コンクールであるエリザベート王妃国際コンクールピアノ部門で、今年度みごと優勝を飾ったニコラ・メーウセンさんも、10年ほど前にコンセルトヘボウ・コンクールで優勝しています。

オランダ国内の才能あるジュニア演奏家を毎年、いち早く発掘するために続けられている活動なのです。


同コンクールについて、審査委員長をつとめた指揮者のVincent de Kortさんは、下記のコメントを残しています。

「異なるジャンルや楽器を並べて審査するのは容易ではありませんが、演奏が(心に)触れるかどうかを基準に採点しました。ぼたんさんは、会場に人が多くなればなるほど演奏が良くなり、より自分らしく演奏していました。非常に技巧があり、年齢として飛び抜けていて、聴衆を本当に引き込んでいました」

▶︎第15回コンセルトヘボウ・コンクール(2023)の動画

同コンクールの優勝者は賞金1000ユーロだけではなく、アムステルダムの音楽祭で演奏する機会を得ます。そのフェスティバルこそが運河音楽祭(Grachtenfestival)です。


▶︎2022年の運河音楽祭レポート記事
https://www.bunkyo-gakki.com/stories/music/europestringwatch/grachtenfestival


▶︎近衞剛大さん(ヴィオラ)が活躍した2024年の開催レポート記事
https://www.bunkyo-gakki.com/stories/music/europestringwatch/tkonoe

日本の唱歌も演奏

さて、8月23日には、同じ会場で2度にわたって髙田さんたちのコンサートが開かれました。どちらもチケット完売の人気公演。地元の音楽ファンからの注目度の高さが伺えます。


チェロのぼたんさんとピアノの茜さん親子の共演で、ヴィヴァルディのソナタ第5番に始まり、サン=サーンスの『動物の謝肉祭』より「白鳥」、そして『アレグロ・アパッショナート』というチェロの定番曲に続き、「日本の唱歌」が短い解説付きで3曲演奏されました。


晩夏のアムステルダムに流れる『浜辺の歌』、『この道』、『夏の思い出』のメロディー。東洋の国の歌を耳にすることが滅多にないオランダの聴衆も、なつかしさの漂う旋律を味わっていました。


フォーレ『エレジー』では、チェロのまっすぐに響く主旋律の音と、やさしくピアノに寄り添うように歌う対旋律のどちらも魅力的な演奏でした。


最後の曲はアルチュニアン『チェロとピアノのための即興曲』。コンセルトヘボウ・コンクールの決勝でもぼたんさんが演奏した作品です。


オランダでマタイアス・ブルースマさん(チェロ)に師事するぼたんさん。今後の活躍からも目が離せません!

 Text : 安田真子(Mako Yasuda)
2016年よりオランダを拠点に活動する音楽ライター。地域のイベントや市民オーケストラでチェロを弾いています。