文京楽器 弦楽器フェア2023
スーパーモダン・ヴァイオリン展
~近代ヴァイオリンを超越する現代作家のこころみ
2023年11月3日 金曜日 -11月11日 土曜日
@文京楽器 & SODA PLAZA
展示会概要
期間:2023年11月3日(金)~11日(土)
時間:10:30〜18:30
会場:
➀文京楽器ショールーム
〒112-0002 東京都文京区小石川2-2-13-1F
Googleマップ
②SODA PLAZA ※11月3日(金) ・4日(土) のみ
時間:10:30~18:00
〒112-0002 東京都文京区小石川2-3-19(文京楽器より徒歩1分)
Googleマップ ・特別展示期間中、
プチ・コンサートを開催します
・試奏は事前予約制といたします
・試奏室をご希望の方は、お問合せの際にその旨をご記入ください(お一人様最大1時間まで)
・展示見学は自由にご覧いただけますのでお気軽にお立ち寄りください
はじめに ~スーパーモダンの成り立ち~
鑑定のエキスパートの間では、18世紀以前にバロック・ヴァイオリンとして製作されたものを「オールド」、19世紀以降にモダン・フィッティングで製作されたヴァイオリンを「モダン」と呼んで区分します。例えば、製作当時、教会や宮廷で使用されたストラディヴァリウスやグァルネリ・デルジェスは、オールド・ヴァイオリンであり、音楽ホールやサロンでの使用を目的として製作された、パリのリュポやヴィヨーム、トリノのプレセンダやロッカはモダン・ヴァイオリンに分類されます。こうした文脈で捉えると、現代作家の作品も「モダン」に大別されます。
19-20世紀に製作されたモダン・ヴァイオリンは、音楽ホールでその能力を発揮したオールド・イタリアンの名器を理想として製作されました。これによって、標準レベルは大きく向上したものの、その芸術性や音について、前時代を超える楽器ができたかどうかは疑問が大きく残りました。(今後100年単位で今後その評価が変わる可能性も否定できませんが…)
一方、1972年にサッコーニが自身の研究の集大成として執筆した『ストラディヴァリの秘密』の出版がきっかけとなり、オールド・クレモナの名器の古典技法に注目が集まるようになりました。今世紀に入ると、CTスキャンによる構造解析や蛍光X線分析によるニスの研究など、最新鋭の技術が導入されるようになり、古典技法について具体的な内容も明らかになってきました。
また、過去二世紀に製作されたモダン・ヴァイオリンは、モデルを名器から採用することがあっても、あくまで各地の製作流派やその師弟関係で育まれた伝統技法によって製作されました。しかし、今世紀に入ると、既存の伝統や枠組みを超えて、古典技法を大胆に取り入れて製作された、高品質のヴァイオリンがあらわれました。これが『文京楽器の弦楽器フェア2023』の序文で、名前の由来に触れた、スーパーモダン・ヴァイオリンです。
スーパーモダンのアプローチには、大きく分けると二つのアプローチがあります。
1.古典技法を駆使しながら、アンティークとなった名器の外観を再現し製作したもの(アンティーク仕上げ)
2.古典技法を駆使しながら、名器ができたばかりの外観を再現し製作したもの(新作仕上げ)
今回の弦楽器フェアでは、「スーパーモダン・ヴァイオリン展 〜モダン・ヴァイオリンを超越する現代作家のこころみ」と題して、文京楽器の考える「スーパーモダン」弦楽器を一堂に集めました。試奏も可能 *一部例外あり ですので、その実力を手にとってお確かめください
Chapter 1:フィリップ・イーレ〜究極の現代ヴァイオリン
現代最高峰のヴァイオリン製作家との呼び声も高い「フィリップ・イーレ」。彼の作品は、世界の一流演奏家だけでなく、製作家やエキスパートからも大きな注目を集めています。通常イーレ氏は、演奏家からの受注でしか製作しませんが、文京楽器は特別に総代理店に指名していただき、2019年以来、日本の奏者に紹介してきました。そんなイーレ工房も今年10周年を迎え、10月10日には盛大にお祝いのパーティーが開かれました。これまで受注や入荷後即完売だったため、皆様に紹介することができなかった現代最高峰のヴァイオリンを展示します。
公式WEB site : Ihle Violins
Chapter 2:ミヒャエル・シュトゥルゼンホフェッカー・カルテット
ドイツ系ヴァイオリン製作者のミヒャエル・シュトゥルゼンホフェッカーは、モンタニャーナやゴフリラなどのチェロの名器のベンチ・コピーを、ロンドンの鑑定エキスパート、ピーター・ビダルフが絶賛し一躍有名になりました。ブラジル出身のアントニオ・メネセスやノルウェー出身のトゥルルス・モルクら超一流のソリストが彼の製作したチェロを愛用しています。チェロに加えて、ヴァイオリンやヴィオラの製作も手がけており、質の高い作品をコンスタントに生み出しています。2017年以来、文京楽器は彼の作品を取り扱ってきましたが、今回は彼の作品をカルテットとして集めることに成功しました。スーパーモダン製作家の作品を楽器別に体系的に鑑賞いただけます。
公式WEB site:Michael Stürzenhofecker
Chapter 3:ルイス・アモリム&アンドレアス・ヘリンゲ&トーマス・モイヴィッセン
イタリア、クレモナのスーパーモダン作家、ルイス・アモリム氏の作品は、チェリストのアントニオ・メネセスやダニエル・ミュラー・ショットらプロが愛用している事で知られています。スイス、ジュネーブの作家、アンドレアス・へリンゲ氏の作品は外観に加え音作りにもこだわり抜いており、ノルウェー音楽財団が保有する貸与楽器の中にも収蔵されている実力派楽器。そして、ベルギー、ブリュッセルからは、スーパーモダン界の異端児、トーマス・モイヴィッセン氏の作品がお披露目。モイヴィッセン氏の作品も、トゥルルス・モルクなど国際派トップ・プレイヤーに高く評価を受けています。
Chapter 4:現代クレモナにみる二つの潮流と古典技法
スーパーモダン作家の国際的な活躍と注目は、製作学校の伝統が強く残る、現代クレモナ派の作家にさえ、インスピレーションを与えています。
これまでのクレモナでは、モラッシー派、ビソロッティ派に代表されるようなモダン・イタリアンの製作技法にルーツを持つ正統派(オーソドックス)が一般的でした。しかし昨今では、スーパーモダン作家と同じく、古典技法を取り入れながらも、仕上げは新作の外観で製作する新古典派(ネオ・クラシズム)ともいうべき、あたらしいタイプの製作者グループが増えつつあります。彼ら新古典派の作家たちは、先にも触れたオーバリン・ヴァイオリン・メーカーズ・ワークショップに代表されるような、国際的な製作家同士の交流を通して知識を積み、既存の枠組みにとらわれない作品づくりに取り組んでいます。
今回はオーソドックス派、新古典派の作品を多数ご紹介します。
Chapter 5:新世界(ニューワールド)の弓製作
モダン弓の製作伝統はフランスに始まります。20世紀に入ると、弓製作家ベルナール・ウーシャが初代校長をつとめたミルクール製作学校の教え子たちを中心に、フランスの弓製作伝統は現代へと受け継がれました。そして現在、その影響はフランスのみならず、世界各国に影響を与えております。今回はフレンチ・ボウのニューワールド(新世界)ともいうべき、フランス国外の現代弓作家の作品を紹介します。
Chapter 6:製作に影響を与える書籍
スーパーモダン作品のインスピレーションの原点である、オールド・イタリアンの名器に関する書籍を販売します。弓の書籍もございますので、是非お立ち寄りください。
〈オールド・イタリアン関連書籍〉『Joannes Baptista Guadagnini』
著・Scrollavezza &Zanre 定価55,000円
『The David Fulton Collection』
著・David Fulton 定価33,000円
〈モダン・イタリアン関連書籍〉『The Modern Italian Violin Makers』
著・Dmitry Gindin 定価330,000円
『I SEGRETI DI SGARABOTTO』
著・Scrollavezza&Zanre 定価49,500円
〈弓関連書籍〉『TOURTE』
著・Paul Childs他 通常版 定価66,000円 / 豪華版 定価132,000円
『FRENCH BOW MAKERS A CONCISE GUIDE』
著・Anton Lu 定価27,500円
『W.E.Hill & Sons Violin Makers 1880-1936』
著・ John Basford & Tim Toft 定価22,000円
〈その他関連書籍〉『老舗弦楽器専門店の工房から 』
著・堀 酉基 定価2,200円
『バイオリン製作 今と昔 第1部~第3部』
著・ヘロン・アレン 定価(第1部)2,420円 /( 第2・3部)各2,640円
お問合せ・ご予約
株式会社 文京楽器東京都文京区小石川2-2-13 ザ・パークハウス小石川後楽園1F
TEL
03-5803-6969火〜土 10:30~18:30
定休日:日・月