個性のぶつかり合いによる4声の調和を聴く。
2017年3月11日-12日のジャパン・ストリング・クヮルテット(以下JSQ)サロンコンサートが、大盛況のうちに終了いたしました。
20年間のカルテット活動のなかで積み上げてきた音楽が、現在の4人それぞれの個性を通して衝突し、絶妙なアンサンブルを聴くことができました。
小石川にある文京楽器のショールーム1Fへたくさんの椅子が並べられ、日が暮れる頃には
30名近くのお客さまで一杯になります。今回はYAMAHA C1 グランドピアノが奥まった場所へ。その前に
4つの譜面台が並べられました。
今年で3回目を迎える
JSQによるサロンコンサート。毎回ベートーヴェンの作品を取り上げている中、今回は初期の
作品18より、優雅で「挨拶」とも呼ばれる
第2番ト長調と、堂々とした
第6番変ロ長調の2曲をプラグラム。
JSQの先生方は多忙かつ活動の場所が国内でも西から東へ、岩崎さんは国外ですので、リハーサルの時間はとても限られていたそう。
今回も演奏会当日の午前中に小石川の文京楽器に集まり、2Fにあるレッスン室で最後まで入念にアンサンブルの確認をされていました。
「
本番は何が起こるかわからない。でも準備は出来る限りのことをきちんとしておきたい」と菅沼先生。
印象的だったのは、4声が丸く寄りそう幸せな時間があったと思えば、一方でそれぞれの
個性がぶつかり合う激しい戦いの場面があり、そんな状況のなかにおいても、4人がもつ
信頼と
尊敬の念により、ひとつの音楽を創っていく"
おもしろさ"があったことです。
ベートーヴェンはもちろん素晴らしかったし、それに添えられたドヴォルザーク「アメリカ」はとくべつ聞き応えがありました。岩崎先生のピチカートと菅沼先生のソロが音楽の
躍動をつくった上に、久保先生と久合田先生の寄りそうふたつのヴァイオリンが、高いところでキラキラと
憧れをもって輝く。そんな素敵な
アンサンブルでした。
ご来場くださった方々より、「ホールとは全く異なる臨場感と興奮があった!」「演奏者の方々の心がダイレクトに伝わる距離感で聴けたことに感動しました!」等、ご好評をいただきました。
JSQの先生方、ほんとうにありがとうございました。次回の開催を期待しております。