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あなたの知らない『松脂』の世界

皆さん、こんにちは。
ヴァイオリン・アドヴァイザーの高木彬矢(たかぎあきや)です。

ヴァイオリン演奏に無くてはならないものの一つに「松脂」があります。皆さんもご存知の通り、いくら最高のヴァイオリンと弓があっても、弓毛に松脂が塗られてなければ、つるつるすべってしまって、ちゃんとした音がでません。つまり、”松脂が塗られた弓の毛”が、音を生み出す弦に直接触れるコンタクトポイントであり、その摩擦の具合が楽器の奏でる音量や音色と大きな関係があるのです。

このように、松脂を適切に選ぶことができれば、自分の理想の弾きごこちに近づけることができます。もちろん、弓毛の選択も大変重要です。ちなみに各産地の弓毛の特徴については、岡本工房長が毛替えについて記した「一流演奏家が認める、文京楽器の最高品質の毛替え」で詳しく解説してくれていますので、興味のある方はこちらも併せてチェックしてみてください。

これほど大切な松脂なのに、単なるアクセサリーとして捉えられていることも多く、これまであまり詳しく語られて来なかったようです。私も幼い頃から音大を卒業するまでヴァイオリンの専門教育を受けてきましたが、ほんの数種類の松脂しか試したことがありませんでした。

最近になって、文京楽器に来店されるプロ奏者の方々も、理想の音を求めて、様々な種類の松脂を試されるケースが増えています。また一般のお客様からも松脂の違いについて質問を受けることが多くなりました。そこで今回、国内で手にはいる松脂をできるだけ取り寄せて、ひとつずつ実際に試奏してみました。その内容は、この記事の後半の松脂レヴューにまとめてあります。

それでは、松脂について詳しく解説していきますので、最後までよろしくお願いします!

目次

1. 松脂とは

2. 松脂の製作工程

3. 松脂の役割

4. 松脂の塗り方

5. 松脂の取り扱い

6. 松脂の選び方
 自分の弾きごこちや演奏スタイルを考えてみよう
 色による松脂の違い
 形やケースによる松脂の違い
 
7. 松脂レヴュー(24種)
 フランス①王道系の松脂(ベルナルデル/ラファン/プーロー/ギヨーム)
 フランス②ミラン系の松脂(クロネコ/ジェイド/ペカット&サルトリー)
 イギリスの松脂(シゲティ・ヒル&サン)
 その他ヨーロッパの松脂(ラリカ/ペッツ/ニーマン/メロス)
 アメリカの松脂(カプラン/オールドマスター/サルコー/セシリア/コルスタイン)
 オーストラリアの松脂(レザーウッド サプル&クリスプ)
 日本の松脂(アルシェ)

8. まとめ

1. 松脂とは

松脂は英語でロジン(Rosin)と呼び、マツ科の木の樹液から、テレピン油を蒸留したあとに残る天然樹脂です。コロホニー(colophony)と呼ばれることもあります。常温だと、黄色から琥珀色、褐色の透明な個体です。

松脂の取れる松は比較的暖かい場所に生息しています。フランス南西の海岸地域にはランドの森が広がっており、フランス海岸松が生息しており、特にミミザン(ワインで有名なボルドーから更に南方に約90キロ)がヨーロッパの産地として有名でした。現在は、中国の南西部(広東省や福建省などの馬毛松)やアメリカの南東部(フロリダ州のスラッシュマツ)やブラジルなどが主な産地です。

松脂は粉状になるとグリップ力があるため、昔から滑り止めとして使われてきました。工業的には紙のサイジング(にじみどめ)や塗料・接着剤などの原料に使われています。一般的なイメージですと、野球のロジンバックやバレエシューズの滑り止め、そして弦楽器用の松脂が有名です。

2. 松脂の製作工程

松脂の原料は、上記で説明した松脂用の松から採取します。まず、樹皮の一部を取り、採取用容器を取り付けます。次に樹皮のない幹に傷をつけると樹液が自然と流れ出て、容器に溜まります。こうして採取した原料から不純物を取り除き、テレピン油を蒸留すると松脂原料(ロジン)となります。

各松脂メーカーは、このような松脂原料を買い付けて使用しています。ここでは簡単に、基礎的な松脂の作り方を説明します。

 ①原材料を熱にかけて溶解させる
 ②一定時間煮つめて粘りを出し、型に流し込む
 ③冷えて固まったら型から取り出す
 ④奏者が松脂を塗りやすいよう、布や箱などで包装する


各松脂メーカーは、①原材料の選別 ②添加物(他の樹脂、油、金属等)の調合 ③加熱時間 etc. について、独自のレシピを持っています。このようなレシピの違いによって、様々な特性を持つ松脂が存在しているのです。

3. 松脂の役割

ヴァイオリンの弓の馬毛を拡大してみると、キューティクルと呼ばれる鱗状の突起があります。弓毛を松脂に擦り付けると、このキューティクルで松脂が削られて、粉状になった松脂が毛の表面に付着します。こうして弓毛は弦と十分な摩擦を得ることができ、弓の運動によって弦が効率よく振動し、ヴァイオリンを大きな音で鳴らすことができるのです。

また松脂の特性によって、表面に付着した松脂の粒度や形状、粘度等が異なります。粒子が大きい場合、グリップ力が強くなる一方で音色が荒くなる傾向があり、粒子の小さく均一なものは、音色が良い傾向にありますが、グリップ力が弱かったり、持続しなかったりすることがあります。

写真:弓毛に付着した松脂の電子顕微鏡写真

4. 松脂の塗り方

毛替えをしたら必ず松脂を塗る必要があります。またすでに松脂が塗ってあったとしても、練習や演奏の前には、数回全体を擦って松脂を補充します。(演奏後に松脂を補充しておく方もいるようです!)

①普段演奏する程度に、弓毛を張ります。

②左手に松脂を、右手に弓を持ちます。

③無理な圧力をかけないようにしながら、松脂の表面を弓毛で上下に擦ります。この時、弓先から弓元まで通して塗ります。

④弓先は力が入りにくく、松脂が乗りにくい場合があります。その場合は、弓先の部分だけ往復して重点的に塗ります。

⑤弓元は力強く使うことが多いので、しっかりと松脂を塗ります。

⑥毛替えをしたあとは、表面全体が白くなるまで、しっかりと塗ります。

⑦松脂の塗りすぎも良くありません。多すぎるなと感じた場合は、弓先を指で軽くはじいて余分な松脂を落とします。

<ポイント>

・できるだけ満遍なく松脂の表面を使うようにしましょう。丸(ケーキ型)の場合は、時々回転させながら使います。四角(ボックス型)の場合は、真ん中だけでなく左右も使います。1箇所だけつかうと、松脂に溝ができてしまい、そこから割れてしまうこともあります。

・弓の毛は直に手で触らないようにしましょう。油分が毛につくと松脂がつきにくくなります。また、松脂がつきすぎたからといって、クロス等で毛を擦って落とすのも、毛を痛める場合があり良くありません。

・新品の松脂を使用する時は、なかなか弓毛に乗りにくいので、細かめのサンドペーパー(#400程度)で表面を荒らしてから、使用すると松脂がつきやすいです。つるつると滑った感じから、全体に抵抗感が感じられるようになると、松脂がよく塗れているサインです。
松脂の塗り方 解説動画 (00:57〜)

5. 松脂の取り扱い

松脂を取り扱う上での注意事項をまとめました。

①松脂をぶつけたり落としたりしないようにしましょう
松脂は総じてもろく衝撃で割れてしまったりすることがあります。色が薄めの「ライト」系の松脂は特にもろいので、取り扱いに注意しましょう。

②高温に気をつけましょう
松脂は樹脂を冷やし固めただけのものなので、熱には弱いです。夏の車中など高温の環境にさらすと変形したり、変質することがありますので注意して下さい。特にコントラバス用の松脂はグリップ力を出すために、常温でも完全には固まっておらず、柔らかい状態です。高温にさらされると容器から流れ出してしまうこともあるので、特に注意しましょう。

③ケースにきちんと収納しましょう
布や箱のケースにきちんと収納することで、松脂は外から衝撃にも強くなり割れにくくなります。また金属製の蓋などが、ケースの小物入れから落ちて、楽器を傷つけてしまうこともあるので、しっかりと蓋を閉めておきます。

④なるべく均等に塗りましょう
松脂の塗り方でも触れましたが、できるだけ満遍なく松脂の表面を使うようにしましょう。1箇所だけつかうと、松脂に溝ができてしまいます。そこから割れてしまうと松脂の寿命を縮めてしまいます。

⑤塗りすぎに注意しましょう
塗りすぎると松脂の粉が楽器や指板の表面につきやすくなります。塗ったばかりの時は、弓先を指で叩いて、余分な松脂を落としておきます。それでも松脂が多いなと感じたら、演奏や練習前に松脂を塗るのを省いても良いでしょう。

⑥松脂が楽器についたら
松脂の量に気をつけても、演奏後は松脂の粉が楽器や指板の表面に白くつきます。そのままにしてしまうと、松脂と埃とニスが一体化して取りにくくなりますので、練習後すぐに清潔かつ柔らかく乾いた布で軽く拭き取りましょう。

弓のスティックや弦についた松脂も布で拭き取ります。弦についた松脂をそのままにしておくと、弦の金属にこびりついて音の鳴りが悪くなったり、弦の寿命を縮めたりしますので、要注意です。

指板や弦に松脂がこびりついて取れない場合、アルコール(松脂はアルコールに溶解するため)を使用することができますが、使用する場合は十分注意して下さい。

楽器のニスのほとんどはアルコールで溶けるので、本体や弓のスティックに絶対に使用しないでください!使えるのはあくまで「指板」と「弦」についたしつこい松脂だけです!

アルコールを使用する場合、楽器や弓から少し離れたところで、布に少量だけアルコールを湿らせる程度に含ませて、優しく松脂を拭き取るようにします。

追記:コロナ禍になって、手指用の消毒アルコールが楽器にあやまってかかってしまい、ニスを修理するケースが多発しています。十分に注意して下さい。

⑧松脂の寿命は?
品質が劣化していなければ、薄くなって割れるまで使用することができます。大切に使えば数年は持つと思います。そのため、松脂の塗り方でも説明した通り、なるべく松脂は満遍なく塗るようにします。

しかし、過度な高温多湿や低温低湿など過酷な環境で松脂を保管すると、松脂が劣化することがありますので、要注意です。(ちなみに文京楽器では、松脂をワインセラーで保管しています。)

6. 松脂の選び方

それでは、松脂をどのように選べば良いか解説していきます。松脂の種類によって弾きごこちや使い勝手が異なるため、それぞれの特徴を押さえて、理想の松脂を選んでいきましょう。

文京楽器では、A:グリップ力(音量)、B:滑らかさ(音色)、C:持続力 、D:使いやすさ が松脂を選ぶ上での指標となると考えていますので、これらの指標を頭の隅において、読み進めていただければ幸いです。

①自分の理想の弾きごこちや演奏スタイルを考えてみよう

まず、自分の求める理想の弾き心地や演奏スタイルについて考えてみましょう。考えが整理されたうえで、松脂の特性を知ると選びやすくなると思います。

<弾きごこちの具体例>
・今よりも引っ掛かりが欲しい
・もう少し滑らかに弾きたい
・長い演奏の最後まで弾きごこちが継続して欲しい etc.

<演奏スタイルの具体例>
・室内楽に取り組みたいので、もっと繊細な表現ができようになりたい
・オーケストラで長時間弾くので、演奏感の持続力が欲しい
・ソロ演奏をするので、まずは音量がしっかりと出て、かつ音色が良いものを選びたい etc.

初心者の場合は、具体的にイメージするのがまだまだ難しいと思いますので、まずはしっかりとひっかかって音が出やすいものをお薦めします。文京楽器のショールームでは、あまりに廉価な松脂はクオリティが低い可能性があり、初心者でも定価2000円位以上の松脂をお薦めしています。ご使用の松脂が引っかかりすぎて雑音が出やすい方は、もう少し「ライト」系松脂にすると演奏しやすくなるでしょう。

②色による松脂の違い

写真:松脂ペッツ ダーク(左) ライト(右)

つぎに松脂の色による性能の違いを検討していきましょう。松脂を色合いで大きく分けると、「ライト」と「ダーク」の2種類があり、それぞれ粘度や粒度が異なります。

その特徴や用途、弾きごこちの傾向をまとめました。これを参考にして、弾きごこち、演奏スタイル、使用する季節によって上手に使い分けていきましょう。ちなみにコントラバス用の松脂は、ヴァイオリン〜チェロ用の松脂と比べ、格段に粘着度が高く別カテゴリーになるため、表には入れておりません。(いずれ、コントラバス用松脂についても取り上げたいと思います。)

一般的に「ダーク」は引っかかりが強く「ライト」は弱めですが、メーカーでレシピが異なるので、その具合には差があります。表では一般的な用途を書きましたが、実際にはヴァイオリンのソリストが力強い演奏を求めて「ダーク」系松脂を愛用したり、チェロのオーケストラ奏者が、繊細な表現を求めて「ライト」系松脂を愛用したりするケースもあります。

この記事の後半の松脂レヴューでは、私が実際に試した弾きごこちをまとめてありますので、是非参考にしてみて下さい。ちなみに文京楽器のショールームでは、レヴューで取り上げた松脂はすべて無料でお試しできます。
ライト

色合い:薄い黄色〜琥珀色

特徴:
・固くてサラサラとした粉
・粒子は小さめ
・サラッとしており、夏でも使いやすい

弾きごこち:引っかかりが少なく、滑らかな演奏感

一般的な用途:
・ヴァイオリン
・ヴィオラ
ダーク

色合い:濃い赤茶色〜褐色

特徴:
・柔らかく粘着性がある
・粒子は大きめ
・夏にはベタベタすることも

弾きごこち:しっかりとした引っかかりが得られ、キレのあるパワフルな演奏感

一般的な用途:
・チェロ
・初心者

③形やケースによる松脂の違い

形は基本的に松脂自体の性能とは関係がありません。しかし、松脂の形や包装によって、塗りやすさなどの使用感が異なります。松脂の形状を大別すると、丸(ケーキ型)と四角(ボックス型)があります。またケーシングには、布で全体を包んだものと、専用ケース(金属、樹脂、紙、布)にはいったものに大別できます。それぞれの特徴をまとめました。
形状による特徴

丸(ケーキ型)

メリット:松脂を少しずつ回転させて使用することで、満遍なく使用することができる
デメリット:慣れないと固定しにくく、やや持ちにくい

四角(ボックス型)
メリット:持ちやすく、初心者でも簡単に塗りやすい
デメリット:満遍なく使うことが難しく、ケースに毛がひっかかることがある

写真:松脂サルトリー(左) 松脂レザーウッドベスポーク サプル(右)
ケーシングによる特徴

布ケース

メリット:収納が簡単。万が一、楽器に落としても傷になりにくい。
デメリット:松脂の粉がケースにつきやすい。

専用ケース
メリット:外観が美しく、愛着がもてる。キチンと収納しておけば、松脂の保護も万全。
デメリット:収納にひと手間必要。金属、樹脂、木製の場合、楽器に落とすと傷になることがある。

写真:松脂ヒル&サン(左) 松脂サンドリーヌ・ラファン(右)
ここまで、松脂の選び方を解説してみました。奏者の皆さんが、理想の松脂にたどりつく一助になれば幸いです。この記事の後半は松脂のレヴューです。これまでの説明を参考にしながら、気になる松脂を見ていただけると、文書だけの説明ではありますが、違いがより理解しやすくなると思います。

7. 松脂レヴュー

それではいよいよ松脂のレヴューです。全種類を実際にひとつずつ使ってみました。

文京楽器では松脂を選ぶ上で、グリップ力(音量)、滑らかさ(音色)、持続力 、使いやすさ、コストパフォーマンスの五つが重要な指標となると考えていますので、それに基づいて5段階で採点してみました。

ちなみにレヴューした松脂はすべて店頭でお試しいただけます。
フランス①王道系の松脂
・ギュスターヴ・ベルナルデル
・サンドリーヌ・ラファン
・ジャック・プーロー
・ピエール・ギヨーム
フランス②ミラン系の松脂
・ミラン・クロネコ
・ジェイド・ロペラ
・ペカット&サルトリー
イギリスの松脂
・シゲティ
・ヒル&サン
その他ヨーロッパの松脂
・ラリカ(スイス)
・ペッツ(オーストリア)
ニーマン(スウェーデン)
・メロス(ギリシャ)
アメリカの松脂
・カプラン
・オールドマスター
・サルコー
・セシリア
・コルスタイン
オーストラリアの松脂
・レザーウッドロージン サプル
・レザーウッドロージン クリスプ
日本の松脂
・アルシェ エチュード
・アルシェ ソプラノ
・アルシェ アルト
・アルシェ テノール

フランス①王道系の松脂

まずは、定番のベルナルデルと現代弓製作家が監修しているフランスの松脂をレヴューしていきます。ピエール・ギヨームはベルギー・ブリュッセルがベースですが、フランス産松脂100%使用とのことで、このカテゴリーに入れました。この系統の松脂は、原材料に拘っていて、松脂原料以外に混ぜ物をしません。そのため総じて松脂に透明感があり、粒子も小さくサラサラ系で、滑らかな弾き心地が特徴です。(注:ピエール・ギヨームを除く)
ギュスターヴ・ベルナルデル
/ GUSTAVE BERNARDEL

定価 ¥2,750(税込)


フランスのヴァイオリン製作者ギュスターヴ・ベルナルデルが、20世紀初めに開発したレシピをもとに、現在はコレッリ(CORELLI)の 弦で有名なサヴァレス社(SAVAREZ)で製造されています。松脂に布が付属していますが、さらに青いフェルト製のポーチにパッケージされています。高品質の厳選された松脂原料から作られており、明るい琥珀色が特徴的です。粒子がきめ細かく、クリアかつ明るいトーンを生み出します。弾きごごちも滑らかで、ファンが多いのもうなずけます。

松脂レヴュー(5点満点中)

音量(グリップ力) 3
音色(滑らかさ) 5
持続力 4
使いやすさ 4
コストパフォーマンス 4
平均点 4.0
サンドリーヌ・ラファン
 / Sandrine Raffin

定価¥6,050(税込)

パリのローマ通り68番地にある、アトリエ・ラファンを率いる弓エキスパート、サンドリーヌ・ラファンの名を冠した松脂。いわゆるフランス系松脂で、オレンジに近い琥珀色をしています。粒子はきめ細やかで、滑らかな弾きごこちです。ベルナルデルにかなり近い感じがします。ケースはスタイリッシュな木製。ボックスタイプなので、松脂は塗りやすく、蓋も閉めやすく工夫されています。ケースに毛が引っかかるのだけが唯一気になりました。

松脂レヴュー(5点満点中)

音量(グリップ力) 3
音色(滑らかさ) 4
持続力 3
使いやすさ 3
コストパフォーマンス 2
平均点 3.0
ジャック・プーロー
 / Jaques Poullot

定価¥4,180(税込)

現代弓製作家のジャック・プーロー(Jaques Poullot)が監修した松脂で、19 世紀に活躍したフランスのヴァイオリン製作家オーギュスト・トルベック(Auguste Tolbecque1830–1919)が残したレシピを基に作られているそうです。ちなみにプーロー氏は、ベルナール・ウーシャに弓製作を学びました。”缶ベル”を彷彿させる金属のアルミ缶ケース入り。ベルナルデルやラファンと比べると若干色も濃く柔らかめの印象。引っかかりがかなり良いので、推奨されている通り、チェロまで十分使えると思いました。

松脂レヴュー(5点満点中)

音量(グリップ力) 3
音色(滑らかさ) 3
持続力 3
使いやすさ 3
コストパフォーマンス 3
平均点 3.0
ピエール・ギョーム
 / Pierre Guillaume

定価¥3,850(税込)

ベルギー・ブリュッセルのメゾン・ベルナール工房で活躍する弓製作家&エキスパートのピエール・ギヨームの松脂。プーローと同じく”缶ベル”オマージュのアルミ缶ケース入りですが、中身はこれまで紹介したフランス王道系で唯一ダーク系の柔らかい松脂です。100%天然フランス産樹脂が使用されており、固形樹脂と液体樹脂を混ぜ合わせているそうです。独特の粘性があるため、引っかかりが良く滑らかでビオラ、チェロにも向いていると思いました。

松脂レヴュー(5点満点中)

音量(グリップ力) 4
音色(滑らかさ) 4
持続力 4
使いやすさ 3
コストパフォーマンス 3
平均点 3.6

フランス②ミラン系の松脂

次に「クロネコ」の愛称で有名なフランス製松脂、ミラン・ドゥルー(Millant-Deroux)の系統の松脂をレヴューしていきます。これらの松脂はすべて、リヨンから東に50キロ程にある小さな村で製造されているそうです。

Millant-Derouxブランドについて

「クロネコ」で有名なミランの松脂の創始者は、フランス・ミルクール生まれのヴァイオリン製作者、セバスチャン・オギュスト・ドゥルー(Sebastian-August Deroux)です。彼は1884年にパリに移ると、ドゥルーの松脂(Colophane Deroux)として松脂を製造販売しました。その製法は、ドゥルーの孫にあたるロジェ&マックス・ミラン兄弟(Roger et Max Millant) に引き継がれました。1925年にはブランド名に「ミラン」の名前が追加され、チェロを演奏する猫の絵がトレードマークとなりました。その後1975年まで、弓の鑑定家として名を馳せた、マックスの息子のベルナール・ミラン(Bernard Millant)が事業を続けました。現在はB.ミラン氏から事業を譲り受けたヴァイオリニストのスノッリ・トルヴァルドソン(Snorri Thorvaldsson)の息子アレクサンドル(Alexandre)が事業を展開しています。
ミラン・クロネコ ダーク
 / Colophane Millant-Deroux(Dark)

定価¥2,200(税込)

「クロネコ」の愛称で有名な松脂。赤い蓋には、トレードマークのチェロを演奏する猫の絵が描かれています。ライトとダークがありますが、ここでは定番のダークをレヴューします。見た目よりも固めの松脂です。引っかかりは良く心地の良いアタックが得られました。一方でやや粒子が荒く感じました。しっかりとしたボウイングを身に着ける必要のある初心者用の松脂としては良いと思います。


松脂レヴュー(5点満点中)

音量(グリップ力) 4
音色(滑らかさ) 2
持続力 3
使いやすさ 2
コストパフォーマンス 2
平均点 2.6

ジェイド・ロペラ
 / JADE l'Opéra

定価 ¥2,750(税込)

ジェイド・ロペラは、ミラン(Millant-Deroux)と同じところで製造されています。ジェイド(翡翠)の名前となった緑色は、使用された樹脂に由来するそうです。余分な粉がですぎないような配合となっており、低アレルギー性の松脂として、メーカーは推奨しています。柔らかめの松脂で引っかかりは十分あるのですが、粒子がきめ細かく変に音色がガサつくようなところがありません。

松脂レヴュー(5点満点中)

音量(グリップ力) 4
音色(滑らかさ) 3
持続力 4
使いやすさ 3
コストパフォーマンス 3
平均点 3.4
ペカット & サルトリー
 / Peccatte or Sartory

定価¥4,180(税込)

「クロネコ」と「ゴールド&シルバー」のレシピを元に製造された高級ラインの松脂。美しい八角形の木製ケース付き。マグネットがついているので、蓋が簡単かつしっかりと閉まります。さらに蓋には、偉大なフランスの弓職人へのオマージュとして、ペカットまたはサルトリーのマークが刻印されています。ベルナルデルに近い琥珀色のライト系。粒子がきめ細かいので音色が良く、引っかかりも適度で音量もあり、バランスの良い松脂です。また松脂がケースに固定されているので、塗りやすいです。ケース全体が大きいのが少しだけ気になりました。

松脂レヴュー(5点満点中)

音量(グリップ力) 4
音色(滑らかさ) 4
持続力 3
使いやすさ 3
コストパフォーマンス 3
平均点 3.4

イギリスの松脂

イギリスの松脂は、フランスのライト系松脂と好対照で、ダーク系松脂が主流。松脂原料に加えて蜜蝋やオイルを調合するレシピのため、色合いは褐色不透明で、粘度も高く粒子も粗めです。最も有名なのは1890年創業のハイダージン(Hidersine)社で、廉価な松脂を製造しています。またハイダージン社は『ヒル&サン』ブランドのアクセサリー(弦・松脂・ペグペースト他)を受託製造しています。
「シゲティ」レッドレーベル・スーパーグリップ
 / ”Szigeti” Red Label Super Grip Rosin

定価¥1,650(税込)

イギリス製松脂「シゲティ」レッドレーベル・スーパーグリップは、20世紀を代表する名ヴァイオリニストのひとり、ヨーゼフ・シゲティにちなんで名付けられました。用途は何とヴァイオリンからコントラバスまで使えるとあります。黒に近い褐色で、蜜蝋を配合したレシピのため、粘性が高く柔らかい松脂です。引っかかりを重視する人には良いかもしれません。(製造元は不明ですが、パッケージと中身からハイダージンで製造されていると思います…)

松脂レヴュー(5点満点中)

音量(グリップ力) 4
音色(滑らかさ) 3
持続力 3
使いやすさ 2
コストパフォーマンス 3
平均点 3.0
ヒル&サン ダーク
 / Hill&Sons  DARK

定価¥2,420(税込)

イギリスの老舗専門店ブランド「ヒル&サン」の松脂。ハイダージン社が1980年頃から受託製造しています。同社のWEBページによると、「ヒル&サン」の松脂には、ハイダージン標準の蜜蝋配合レシピとは異なり、オイルが配合されているそうです。色は「シゲティ」程黒くはありませんが、ダーク系で不透明です。「ライト」はしっかりとした引っかかりがありながらも滑らかさもあります。「ダーク」は力強いアタックが得られますが、ヴァイオリンには粒子が荒すぎるかもしれません。

ダーク レヴュー(5点満点中)

音量(グリップ力) 4
音色(滑らかさ) 4
持続力 3
使いやすさ 3
コストパフォーマンス 3
平均点 3.4

その他ヨーロッパの松脂

ここでは、フランス、イギリス以外のヨーロッパの松脂をレヴューしていきます。総じてフランス系松脂のさらさら系とも、イギリス松脂のベトベト系とも異なり、中間的なテイストに調合されていると思います。金属を調合したり独自の工夫があるのも面白いですね。
ラリカ
LARICA (スイス)

定価¥4,950(税込)

「リーベンツェラー」のレシピに基づいて作られているスイス製の松脂。メーカーのWEBページによると、カラマツの樹脂のみを使用しているとのこと。最大の特徴は、金属の粉が配合されている点で、ラリカの松脂は「メタル・ロジン」と銘打たれています。調合する金属によって、音色や弾きごこちが変わり、より豊かで暖かい音色が得られます。

いろいろな種類がある中でもレヴューしたのは、ヴァイオリン用のGOLD-1 。金粉が含まれているタイプで、かなりの音量があります。柔らかめですが適度なサラサラ感もあり、しっとりとした弾き心地です。チェロ弾きの間にこの松脂のファンがいるのも頷けます。

松脂レヴュー(5点満点中)

音量(グリップ力) 4
音色(滑らかさ) 3
持続力 4
使いやすさ 3
コストパフォーマンス 3
平均点 3.4
ペッツ ライト&ダーク
/ PETZ  LIGHT&DARK(オーストラリア)

定価¥2,200(税込)

1912年に音楽の都オーストリア・ウィーンで音楽家のエルンスト・ペツカが設立した松脂メーカー。ペツカ氏は当時入手可能な松脂の出来に満足せず自ら独自の製法を開発し、人気を博しました。100年以上経った現在では、何と80か国以上で販売されているそうです。

「ライト」は琥珀色できめ細やかな粒子。サラサラではなく適度な粘性があります。一方「ダーク」は濃い色合いで、粘性が強く引っかかりが良いので、大きな音量が得られます。布入りですが、布の外側に松脂を持つところがあり、手を汚さずに松脂を塗れる点が良いと思います。

ライトレヴュー(5点満点中)

音量(グリップ力) 2
音色(滑らかさ) 3
持続力 3
使いやすさ 3
コストパフォーマンス 4
平均点 3.0

ダークレヴュー(5点満点中)

音量(グリップ力) 4
音色(滑らかさ) 4
持続力 3
使いやすさ 3
コストパフォーマンス 4
平均点 3.6
ニーマン
/ NYMAN(スウェーデン)

定価 ¥2,750(税込)

コントラバス用の定番として有名なスウェーデン製の松脂。現在もうひとつの定番「カールソン」ブランドも合わせて製造しており、この二つはほぼ同じような品質と特徴です。そんなニーマンのヴァイオリン用松脂をレヴューしました。コントラバスの松脂のイメージを踏襲したダーク系松脂。粉の粒子も細かくなるよう工夫されていますが、やはりかなりの粘度があります。引っかかりが良く、ケースも樹脂製のシンプルなデザインで扱いやすいので、お子様用には良いかなと感じました。

松脂レヴュー(5点満点中)

音量(グリップ力) 4
音色(滑らかさ) 2
持続力 3
使いやすさ 3
コストパフォーマンス 2
平均点 2.8
メロス ライト&ダーク
/ MELOS LIGHT&DARK(ギリシャ)

定価 ¥3,850(税込)

メロスは、ギリシャの松脂メーカー。エーゲ海に面した湾岸都市、テッサロニキで2002年に設立された比較的新しいブランドです。ミニ松脂を使ったマーケティングで、瞬く間に松脂のトップブランドに上り詰めました。ギリシア産のハンドピックした松脂原料に天然の添加物を加えて作られており、現在は、クラシカル(一般的なクラシック用)、バロック、ワールド(二胡など世界の弦楽器用)のカテゴリーで商品展開しています。今回は、ヴァイオリン用のライトとダークをレヴューしました。「ライト」は、きめ細やかな粒子でサラサラしていますが、若干グリップ感が物足りない気がしました。「ダーク」は、ダークと言っても淡いルビー色で、音色とひっかかりのバランスが良く使いやすい松脂だと思います。

ライトレヴュー(5点満点中)

音量(グリップ力) 2
音色(滑らかさ) 4
持続力 3
使いやすさ 3
コストパフォーマンス 3
平均点 3.0

ダークレヴュー(5点満点中)

音量(グリップ力) 4
音色(滑らかさ) 3
持続力 3
使いやすさ 3
コストパフォーマンス 3
平均点 3.2

アメリカの松脂

ここではアメリカ製の松脂をレヴューします。アメリカは中国に次ぐ松脂の産出国ということもあってか、結構松脂メーカーの数があります。
カプラン ライト&ダーク
/ KAPLAN LIGHT & DARK

定価¥1,540(税込)

弦で有名なダダリオ社がニューヨークで製造している「カプラン」ブランドの松脂。レシピの詳細は分かりませんが、外観から推測すると添加物が少ない素直な松脂だと思います。ライトは琥珀系で、きめ細やかな粒子でひっかかりもよく音量もあります。ダークも粉感がありますが、粒子が大きめで荒く引っかかりが強い印象です。樹脂の特製ケースがついており、ワンタッチで開閉します。また塗りムラを防ぐために、ケースの下にダイアルがあり、少しずつ回転できるデザインになっています。

ライトレヴュー(5点満点中)

音量(グリップ力) 2
音色(滑らかさ) 3
持続力 2
使いやすさ 3
コストパフォーマンス 4
平均点 2.8

ダークレヴュー(5点満点中)

音量(グリップ力) 3
音色(滑らかさ) 3
持続力 2
使いやすさ 3
コストパフォーマンス 4
平均点 3.0
オールドマスター ライト&ダーク
/ Old Master LIGHT GOLD& DARK GOLD

定価¥6,050(税込)

オールドマスターは、フロリダ州南部にあるストラヴァリ社(ストラディヴァリ社ではありません!)が製造している高級松脂。世界中から調達した最高級の天然成分を配合して手作業で丁寧に製造されているとのこと。他にもラインがありますが、ここでは24金が配合されているライトゴールドとダークゴールドをレヴューします。ともに柔らかめの松脂でしっとりとした弾きごこちですが、金が配合されているため、強いアタックが得られ、かなりの音量があります。ダークゴールドはヴァイオリンには少し引っかかりが強すぎるかも知れません。ケースに固定された大きめの松脂で持ちやすく塗りやすいのも高ポイントでした。

ライトゴールド レヴュー(5点満点中)

音量(グリップ力) 4
音色(滑らかさ) 4
持続力 3
使いやすさ 4
コストパフォーマンス 2
平均点 3.4

ダークゴールドレヴュー(5点満点中)

音量(グリップ力) 5
音色(滑らかさ) 3
持続力 3
使いやすさ 4
コストパフォーマンス 2
平均点 3.4
サルコー ライト&ダーク
/ Salchow LIGHT & DARK

定価 ¥2,750(税込)

1960年に設立されたアメリカ・ニューヨークの弓工房サルコー&サンの松脂。ちなみに創業者のウィリアム・サルコーは、フルブライト奨学金でフランスへ渡り、弓作りの本場ミルクールでフレンチ・スタイルの弓製作をG.バルジョネとC.A.バザンに学びました。現在は三代目のアイザックが工房を取り仕切っています。現在でも50年近く前にウィリアム・サルコーが開発した松脂と同じ製法で製作されています。どちらもダーク系の松脂で、柔らかめの松脂です。ライトは適度なひっかりがあるタイプ。ダークは何かの金属が配合されているようで、音量のあるタイプとなっています。

ライト レヴュー(5点満点中)

音量(グリップ力) 3
音色(滑らかさ) 3
持続力 3
使いやすさ 3
コストパフォーマンス 3
平均点 3.0

ダークレヴュー(5点満点中)

音量(グリップ力) 4
音色(滑らかさ) 2
持続力 3
使いやすさ 3
コストパフォーマンス 3
平均点 3.0
セシリア(旧アンドレア)
/ CECILIA (Andrea)

定価¥3,630(税込)

ヴァイオリニストのピーター・バーンが2009年に設立した松脂メーカー。これまで「アンドレア」のブランドで親しまれてきましたが、2020年からブランド名が「セシリア」に変わりました。「セシリア」とは音楽の守護聖人であるとともに、創業者の母親へのオマージュだそうです。セシリアのラインアップでもちょうど中間的な性能を持つ、「ピアチェーレ」をレヴューしました。明るめの色合いの松脂で適度な粉感もあります。音の立ち上がりがよく明るい音色で、音量も申し分ありません。

松脂レヴュー(5点満点中)

音量(グリップ力) 4
音色(滑らかさ) 4
持続力 4
使いやすさ 3
コストパフォーマンス 3
平均点 3.6
コルスタイン
/ KOLSTEIN

定価¥3,960(税込)

コルスタインは、アメリカ・ニューヨークの松脂メーカー。老舗弦楽器専門店のウーリッツァー(Wurlitzer)の弓職人サミュエル・コルスタイン(Samuel Kolstein)が設立しました。楽器別松脂の先駆け的存在で、(それまでは楽器によって松脂を使い分けるのがあまり一般的ではありませんでした…)1960年頃から研究をはじめ、ニューヨークフィルのメンバーにヒアリングを重ねることで製品化しました。「コルスタイン」ブランドの松脂は特にコントラバス用で有名ですね。今回はヴァイオリン用をレヴュー。コントラバスに定評のあるメーカーだけあって、ヴァイオリン様に調合されていますが、粘度が高めでしっかりと音がでます。粒子はやや粗めに感じました。

松脂レヴュー(5点満点中)

音量(グリップ力) 4
音色(滑らかさ) 2
持続力 3
使いやすさ 3
コストパフォーマンス 2
平均点 2.8

オーストラリアの松脂

レザーウッド クリスプ&サプル
/ LEATHERWOOD BESPOKE ROSIN Crisp&Supple

定価 ¥10,978(税込)

レザーウッド・ビスポーク・ロジンは、オーストラリアのヴァイオリン奏者のアンドリュー・ベイカーが創設しました。ベイカー氏は奏者としての経験から、快適な演奏を実現する「松脂」の重要性に着目し、ひとりひとりの演奏法にあった松脂をビスポーク(オーダーメイド)するというコンセプトで松脂を開発しました。レザーウッド・ビスポーク・ロジンは、オーストラリア産木材のケースを柔らかな鹿革で巻いた独創的かつ自然を意識した外観がトレードマークとなり、創立後数年で瞬く間にメジャーになりました。添加物のないライト系の松脂でサラサラしています。特注もできるようですが、基本のクリスプ(パリッとした)とサプル(しなやか)の2種類で展開しています。細長いボックスタイプの木製ケースに入っているので、誰でも塗りやすくなっています。

クリスプ:雑音が少なく、さっぱりとした明るい音色。引っかかりが強く、パワフルに演奏できます。音量が欲しい方、ソロの方におすすめできると思います。

クリスプレヴュー(5点満点中)

音量(グリップ力) 5
音色(滑らかさ) 5
持続力 4
使いやすさ 3
コストパフォーマンス 2
平均点 3.8

サプル:クリスプよりやや粘度が高い松脂です。明るい音色は変わりませんが、滑らかな弾きごこちで、厚みのある音が得られます。


サプルレヴュー(5点満点中)

音量(グリップ力) 5
音色(滑らかさ) 5
持続力 4
使いやすさ 3
コストパフォーマンス 2
平均点 3.8

日本の松脂

アルシェの松脂は、1980年代中頃まで製造されていた、幻のフランス製松脂「缶入りベルナルデル」を日本人の手で復活させるべく開発がスタートしたそうです。パリの老舗弦楽器商エミール・フランセ氏よりフランス伝統のレシピを入手することに成功し、1995年に製品化されました。その後も研究開発を続け、弾きごこちへの徹底したこだわりと厳しい品質基準で伝統的なフランス松脂を昇華させ、2015年に現在のラインナップとなりました。

アルシェの松脂は「美しい音色」と「豊かな音量」という、通常相反する要素を絶妙に成立させるべく、電子顕微鏡による松脂粒子の観察や数多くの奏者による官能検査を分析して、現在の配合を導き出したそうです。また「折り紙」をイメージしたオリジナル・ラッピングと弓を想起させる「八角」の松脂は、均等に使いやすく持ちやすいよう設計されています。
アルシェ エチュード
/ Étude

適度なひっかかりがあって、明るい音色です。メーカーが「基本の松脂」と位置づけているように、変な癖がなくニュートラルな弾きごこちで、入門者やお子様におすすめの松脂です。 

松脂レヴュー(5点満点中)

音量(グリップ力) 4
音色(滑らかさ) 2
持続力 3
使いやすさ 3
コストパフォーマンス 4
平均点 3.2
アルシェ ソプラノ
/ Soprano

ベルナルデルよりも明るい色をしています。粒子がきめ細やかでサラサラ感があり、明るくクリアな音がでます。軽やかな弾きごこちです。

松脂レヴュー(5点満点中)

音量(グリップ力) 3
音色(滑らかさ) 4
持続力 4
使いやすさ 4
コストパフォーマンス 3
平均点 3.6
アルシェ アルト
/ Alto

色はソプラノと変わりませんが、粘度が増しているため、サラサラ感を残しつつ、しっかりと弦を掴むことができます。音色と音質のバランスが非常によく、滑らかな弾き心地が特徴的です。

松脂レヴュー(5点満点中)

音量(グリップ力) 4
音色(滑らかさ) 3
持続力 4
使いやすさ 4
コストパフォーマンス 3
平均点 3.6
アルシェ テノール
/ Ténor

ソリスト向けの松脂だと思います。テノールも色はソプラノと変わりませんが、ひっかかりが強く、とにかく音量が出せます。音は発音がよく、重厚感があります。

松脂レヴュー(5点満点中)

音量(グリップ力) 5
音色(滑らかさ) 3
持続力 5
使いやすさ 5
コストパフォーマンス 3
平均点 4.2

まとめ

「あなたの知らない松脂の世界」を最後まで読んでくださり、ありがとうございます。私も今回、勉強しながら松脂について記事にまとめましたが、改めて松脂の奥深さに感嘆しました。

また、実際に多くの松脂をレヴューしましたが、こんなに沢山の種類の松脂を一度に試したのはもちろんはじめてです。これまでは単にサプライヤーの受け売りだったり、曖昧にしか把握できていなかったことが腑に落ちました。こうした、レヴューの結果、松脂は大きく3つのカテゴリーに大別できると感じました。

①ベルナルデル&インスパイア系
ほぼ松脂原料のみを使用し、加熱も最小限のの。色は琥珀色。もちろん、その代表はベルナルデルです。フランス系の弓職人がプロデュースした松脂、オーストラリアのレザーウッド、アルシェの松脂は、それぞれ独自の進化を遂げた部分もありますが、ベルナルデルのインスパイア系と言って良いと思います。各社の「ライト」ロジンも大別するとこの系統にはいります。

弾きごごちは比較的スムースで、耳元で「サラサラ」「ジャリジャリ」と言った感じがします。楽器に倍音感や音色が欲しい方におすすめの松脂です。

②クロネコ&ダークロジン系
松脂の加熱時間を長くして粘りを出し、さらに蝋(ワックス)やオイル(油)を加えて粘度を調整したもの。色は茶色〜褐色、黒に近いものまで。代表的なのは、クロネコのダークで、各社のダークロジンはこれに分類されます。

しっかりとした引っかかりがあり、耳元で「ガリガリ」と言った感じがするものから、耳元での雑音がほとんど無いものまで、粘着性によって変わります。演奏にアタックが欲しい人におすすめの松脂です。

③メタル・ロジン系
松脂に金粉などの金属を配合したもの。「リーベンツェラー」がこの製法の先駆けです。そのレシピを引き継いだスイスの「ラリカ」や、アメリカの「オールドマスター」がメタル・ロジンとして有名です。

配合された金属の影響で、独特の発音の感じがあり、「バリバリ」と大音量で鳴る感じです。音量が欲しい人におすすめの松脂です。
今回取り上げたものだけでなく、松脂はまだまだ種類がありますので、今後も折をみて追加していきます。また私はヴァイオリニストなので、ヴィオリストやチェリストがレヴューするとまた違った形になるかも知れません。将来的に色々と企画していきたいと思います。

この記事をお読みになっているプレイヤーの皆さんも、一度文京楽器の店舗に足をお運び下さい。実際にいろいろ比較してみると眼からウロコですよ。ぴったりの松脂を手に入れて、理想の音と弾きごこちを手に入れてくださいね。