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連載『心に響く、レジェンドからのメッセージ』

1984年から1993年まで、文京楽器が発行していた季刊誌Pygmalius(ピグマリウス)より、インタヴュー記事を復刻掲載します。当時、Pygmalius誌では古今東西のクラシック界の名演奏家に独占インタヴューを行っておりました。
レジェンドたちの時代を超えた普遍的な理念や音楽に対する思いなど、心に響くメッセージをどうぞお楽しみください。

第34回 ヨーヨー・マ / Yo-Yo Ma

引用元:季刊誌『Pygmalius』第4号 1984年7月1日発行
■ヨーヨー・マ

1955年フランスパリで生まれる。7歳の頃一家でニューヨークに移住。ジュリアード音楽院やハーバード大学で学ぶ。1998年に「シルクロード・プロジェクト」を設立したほか、2018年にはバッハの『無伴奏チェロ組曲』を世界各地で演奏する「バッハプロジェクト」を立ち上げた。

1. 名器は手なずけるまでがとても大変

今、世界でこれほど騒がれている人も少ないのではないだろうか。2年ぶり2度目の来日コンサートは、どこも超満員で、拍手が鳴り止まなかった。素顔の「マ」は、温好で人なつこく、ユーモアを絶やさないすてきな人柄である。


ー今回、楽器が変わったようですね。ストラディバリかなって思ったのですが......。


おわかりになりましたか。全くその通りです。ついこの9月に入手したんですよ。1712年 製です。


ーたしか、この前は、モンタニアーナをお弾きになっていましたね。


ええ、1733年製です。あの楽器もとても良かったのですが、たまたまバレンボイム氏の奥さまのジャクリーン・デュプレさんが、もう6年前からチェロを弾かなくなったからということで、譲ってもいいという話がありましてね。


ーモンタニアーナと、ストラディバリではどう違いますか。


モンタニアーナは、とても素晴らしい楽器です。その前にはゴフリラを弾いていたのですが、なにしろ、モンタニアーナは、購入してからずっと、弾きにくくて弾きにくくて、ほとんど1年間くらいは楽器と格闘していましたね。モンタニアーナのチェロは、自己能力の開発に最適だと思います。


ーモンタニアーナのチェロは、本来アルト・トーンのための楽器だけに表現範囲が広く、音質、音量共素晴らしいですね。


たしかに、モンタニアーナで表現出来ることが、ストラディバリのチェロで表現出来ないことがあります。その逆もありますけれどね。ただストラディバリの場合、だいたい2ヶ月くらいで思うように表現出来るという自信のようなものが出来ました。それで、今回持ってきました。


ーなぜストラディバリを選びましたか。


モンタニアーナは広がりのある、ブロード・トーンで、いわゆるチェロらしいチェロというか、アルト・トーンで深みのある音色がするわけですね。一方、ストラディバリは、フォーカスな、一点に集中するような音色というのかな、そして、自分の思った通りの表現が出来るし、出したいような音が出る、そういうことで選びました。


ー新しい楽器に変える時、自分に合わせるというのはやはり大変ですか。


そうですね。楽器を弾くということは、いわば動物をならすようなもので、なかなか難しいところもありますね。特にいわゆるストラディバリのような名器というのは、例えば駿馬みたいなものですね。手なづけるまでが、とても大変ですね。


ーサラブレットですね。(笑)


(笑)正にそうですね。とても面白い話があるんですよ。エルマンのストラディバリがガルネリになってしまったという......。(笑)


ーエッ?


ご存知のように、エルマンの弾き方っていうのは、どちらかというとマイルドでややマイナーの感じがあるでしょ。ストラディバリのバイオリンは完全にメジャー・トーンですよね。それで、エルマンはストラディバリを買って、例の調子で一生懸命に弾き込んだところが、ついにストラディバリをガルネリ・トーンにしてしまったというわけです。 ……要するに、訓練の仕方で音色さえも変わってしまう可能性があるわけですね。

2. 楽器は健康でなくてはならない

ー新作には興味はありますか。


もちろん、あります。今使っている弓も新作ですし、何よりも木の寿命というか、楽器の寿命のことがありますからね。今使い始めたストラディバリにしてもそうですが、例えば古い年代のサロの楽器があるでしょ。サロはいつまでも良い音で弾けるのか、寿命がきたら、例えば突然パタッとダメになってしまうのかという不安があります。楽器の寿命というのは、いったいどれぐらいあるものなんでしょうか。


ー一説に五百年と言う人もいますし、三百年とか一千年という人もいます。木の寿命という点は別として、あくまでも楽器としてみた場合に限ると、要は使い方の問題だと思います。表板が割れキズだらけで新しい木を補足して修理したものとか、ひどいキズを負った楽器は、すでに三百年未満でも良い音はしませんね。健康な楽器は、むしろまだまだこれからも良く鳴り続けるでしょう。


ええ、よくわかります。なにしろ楽器は健康でなくてはいけませんね。


ー実際のところは、誰にもわからないというのが、むしろ正解ではないでしょうか。 バイオリン族が作られてまだせいぜい三百年ですから、時が経ってみないとわからない......。


そうでしょうね。ピアノも同様だということを聞いたことがあります。


ー今回のコンサート、素晴らしく感動的でした。こんな質問を受けたことはないでしょうけれど、舞台で演奏している時、「マ」さんの頭の中には何があるんでしょうか。


音符があるということも、ま、ありますけど、そちらの方はどちらかというと、むしろコンピュータみたいなものですから......。そうですね、鳥かん的なというか、音楽を通して何を表現したいかという、大きな視点ですね。それと、音符のような小さいもの、その2つの間を上下に行ったり来たりしている感じ...かナ。

家に置いてきた9ヶ月になる赤ちゃんの話になると、相好をくずしてもうメロメロかと思うと、ゴルフのクラブを握ってパットの練習。
入るかナ......?
オットット、少し強過ぎましたが、ザンダーさんの手助けがあって見事にインを決めました。

日本の新聞の切り抜きを読む「マ」さん。 「カンジはだいたい、わかりますよ。」