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ブラジルに生息する希少な樹木

ペルナンブコは、弓の材料として最適とされている木の名です。弦楽器奏者なら一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。ここではペルナンブコとは何なのかを、簡単にご紹介いたします。

写真 アルシェが保有する最高品質のペルナンブコ材ストック。


ブラジル・ペルナンブーコ州

ペルナンブコはブラジル原産のマメ科の常緑高木です。

パウ・ブラジル("ブラジルの木"の意。国名はこの木から名付けられた!)と生物学的な違いはありませんが、赤道近くの東部ブラジルに位置する、ペルナンブーコ州でとれる材木が最も高級であるため、通常区別してペルナンブコと呼ばれています。

同州は大西洋岸の地域で、ペルナンブコは海岸から100キロまでの地域で土壌と気候の条件が整ったところのみに生息しています。

地図 ぺルナンブコ生息域地図
(橙色が過去に生息していたと予測されるエリアを、赤色が現在の生息エリアを示す)

絶滅危惧種へ認定

ぺルナンブコブラジリン成分により美しい赤い色を醸すため、昔から染料としてヨーロッパへ輸入されていました。加えて高級家具や調度品に使用するなどの需要が高まり、過度の伐採が進んだのです。

結果、絶滅の恐れがあるとして絶滅危惧種に認定され、2007年にはワシントン条約 CITES(Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora)により、その輸出取引が禁止されています。

最も適した材料として

18世紀に弓製作のストラディヴァリウスと評価される、フランソワ・グザヴィエ・トルテが弓の素材として用いて以来、固さ・密度・柔軟性に優れており、弓の反りをキープすることができる、最も適した材料であるとされました。

マサランデューバ、スネークウッド、アイアンウッドなどの熱帯の木材もよく使われましたが、ペルナンブコによる弓が最も音色が良く演奏家が好んだため、次第に最高の弓材として定着して行きます。美しい杢目を持つことも、好んで用いられた理由の一つでしょう。

次回は弓作りにとって最も重要なこととは何か、アルシェが材料にこだわる理由をご紹介いたします。