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日曜・月曜定休
Closed on Sundays & Mondays

10:30~18:30

112-0002 東京都文京区小石川2-2-13 1F
1F 2-2-13 Koishikawa, Bunkyo-ku,
Tokyo 112-0002 JAPAN

後楽園駅
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写真:『GIO.PAOLO MAGGINI , His Life and Work / W.E.Hill & Sons』

SALON de L'ALTO 2024

ヴィオラの多様な世界

2024年2月3日 土曜日 - 3月2日 土曜日
@文京楽器
期間:2024年2月3日(土)~3月2日(土) 
時間:10:30〜18:30
会場:文京楽器ショールーム
   〒112-0002 東京都文京区小石川2-2-13-1F
   Googleマップ 

・特別展示期間中、弾き比べ&プチ・コンサートを開催します
・試奏は事前予約制といたします
・試奏室をお一人様最大1時間までご利用いただけます
・展示見学は自由にご覧いただけますのでお気軽にお立ち寄りください

SALON de L'ALTO~ヴィオラの多様な世界〜

文京楽器の新企画「サロン・ド・ シリーズ」は、毎回テーマに沿った楽器・弓を取り揃え、その魅力を身近に楽しんでいただける “小さな展示会” です。

記念すべき第1回は、ヴィオラをフィーチャーした企画展「SALON de L'ALTO ~ヴィオラの多様な世界~」をお送りします。

ヴィオラは、ヴァイオリンやチェロと比べると、サイズやアーチ(隆起)の高さがさまざまで、それぞれに音色や弾き心地が異なる、個性ゆたかな楽器です。

プレイヤーの演奏スタイルや好みに合わせて、自分にあった理想のヴィオラを見つけることができるよう、モダン・ヴィオラ、コンテンポラリー・ヴィオラを豊富にとりそろえました。また、ヴィオラ弓も充実しており、楽器との相性も確認することができます。

さまざまなヴィオラが一堂に介する貴重な機会です。ぜひご来場くださいませ!


オールドからコンテンポラリーまで、ヴィオラの多様な世界

ヴィオラはボディサイズだけでなく、木材の経年数による音質の変化、そしてプレイヤーが各々に抱く音色と演奏性のイメージを加味すると、その選択肢はおそらく弦楽器の中でも最大と言えるでしょう。オールド・ヴィオラやモダン・ヴィオラなど、アンティーク作品がもつ味わい深い響きも魅力ですが、昨今、特にヨーロッパでは優れたコンテンポラリー(新作)のヴィオラが、プロ演奏家によって使用される機会も増えており、ヴィオラの選択肢は、より一層多様な広がりを見せています。

<ヴィオラ>

フランコ・アルバネッリ

Viola 41.6cm(16.5 inch)
Franco ALBANELLI
Bologna / Italy
1980

~ボローニャ派の伝統を継承する、堂々たる響きのヴィオラ~
フランコ・アルバネッリ(1933-2007)は、ボローニャ派の名工ガエタノ・ポラストリの弟子です。師匠の技を良く受け継ぎ、精緻かつ堂々とした作品を残しました。初期の作品は師匠ポラストリのラベルで製作されているものも多いのですが、本作品はアルバネッリ自身のラベルが入った黄金期の作品。ボディサイズも大きく、ヴィオラらしい深みのある低音と豊かな音量が魅力の個体です。

エルミニオ・マラグッティ

Viola 41.7cm(16.5 inch)
Erminio MALAGUTTI
Mantua / Italy
1988

~ヴィオラの魅力を余すところなく引き出す、大器の個性~
マラグッティは、マントヴァ南部の村パリダーノに生まれ、1938年にミラノへと渡り、このころからヴァイオリン製作と修復を学び始めました。1960年代から70年代にかけてはいくつかのコンクールで受賞を経験し、海外からも楽器注文が入るなどの成功をおさめた作家です。本作品はスイスのソリストがコレクションしていたもので、大型のボディから奏でられる芳醇な響きが素晴らしい、コンサート・ヴィオラです。

レネ・モリゾー

Viola 40.7cm(16 inch)
Rene MORIZOT
Mirecourt / France
1970


~優美なフォルムと甘美な音色。エスプリの効いたフレンチ・ヴィオラ~
フランス、ミルクールの名門弓職人モリゾー家の6男、レネ・モリゾーの作品。彼は一族で唯一の楽器職人となって活躍しました。1969年にはミルクールの国立弦楽器製作学校に教授として招かれ、後進の育成にも貢献したことで知られています。均整のとれたアーチとアウトラインが優美さを醸し出す作品。甘く、とろけるような音色が魅力のヴィオラです。

スクロラヴェッツァ&ザンレ

Viola 40.3cm(16 inch)
Scrollavezza & Zanre
Parma / Italy
2021

~科学×伝統技法でオールド・ヴィオラの再現に挑む、パルマの名門~
パルマの現代作家エリーザ・スクロラヴェッツァとアンドレア・ザンレの共同作品。古典名器のもつ音色の再現に取り組むべく、数多くのオールド楽器を科学的に研究し、そのノウハウを現代に取り入れています。特に材料選択には徹底してこだわっており、めったに取れない軽くて耐久性の高い木材のみを使用しています。新作とは思えない倍音の豊かさ、発音の速さを体験してください。

ロベルト・カヴァニョーリ

Viola 40.6cm(16 inch)
Roberto CAVAGNOLI
Cremona / Italy
2009


~日本人が一番弾きやすい16インチ、オールマイティな新作ヴィオラ~
ロベルト・カヴァニョーリは2004年のアメリカVSA国際製作コンクールにおいて銀賞、2006年にはクレモナ・トリエンナーレにて第3位を受賞するなど、優秀な成績をもつ新作作家です。クレモナ製作学校の伝統に忠実な正統派スタイルを採用。サイズも多くの日本人にとって弾きやすく、かつビオラらしい音量も備えたバランスの良い作品です。

ミヒャエル・シュトゥルゼンホフェッカー

Viola 40.3cm(16 inch)
Michael STÜRZENHOFECKER
Stans / Switzerland
2019

~珍しいグァダニーニモデルの、演奏家垂涎のスーパーモダン・ヴィオラ~
M.シュトゥルゼンホフェッカーは、ノルウェー音楽財団にも彼の作品が貸与楽器として収蔵されるなど、プロ・ユースに耐えうる新作としてヨーロッパでは知られています。特にヴィオラやチェロなどの中・大型楽器においては評価が高く、世界のプロ演奏家たちに愛されています。本作品はグァダニーニモデルを採用。幅広のボディ中央部(C部)により、大らかで倍音豊かな音色を実現しています。

トーマス・モイヴィッセン

Viola 40.8cm(16 inch)
Thomas MEUWISSEN
Brussels / Belgium
2004

〜ベルギー発、最もアバンギャルドな新作作家の傑作ヴィオラ〜
T.モイヴィッセンはベルギーのスーパーモダン作家。ベルギー王立音楽院、アムステルダム音楽院、ノルウェー財団など、世界有数の音楽院が彼の作品を貸与用の楽器として収蔵しています。彼は自らの風景を観客が自由に見学できるよう、音楽院の中にガラス張りの工房を設置するなど、その活動はとてもユニークでアーティスティック。しかし作品は長年の研究で得た古典派技法を取り入れた本格派です。本作品はヴェニス派の名工、ゴフリラーのモデルで製作。豪快で朗々とした響きをお楽しみください。

伊藤 亮介

Viola 40.8cm(16 inch)
Ryosuke ITO
Cremona / Italy
2023

新進気鋭の日本人作家が放つ、新古典派ヴィオラ
クレモナ在住のヴァイオリン製作者、伊藤亮介氏の作品。オールド・クレモナ派の御三家と称されるアマティ・フェミリーのモデルをもちいて製作しました。アマティの特徴である優雅な曲線美を存分に再現し、風合いのあるオイルニスが魅力をさらに引き立てています。ヴィオリストにとって弾きやすさと音量のバランスの良いサイズで設計されています。アマティモデルの特色である、温かで甘い音色をご堪能ください。

無量塔 蔵六

Viola 41.0cm(16 inch)
Zoroku MURATA
Tokyo / Japan
1993

〜日本ヴァイオリン製作界の原点、マイスター無量塔氏の遺作がここに~
無量塔 蔵六(むらた ぞうろく)氏は、ドイツで日本人初のガイゲン・バウ・マイスターの称号を取得した、日本の手工ヴァイオリン製作における最大の貢献者です。
数々の国際製作コンクールでの受賞歴や審査員を歴任、1979年には日本初のヴァイオリン製作専門学校である、東京バイオリン製作学校を設立。日本の弦楽器製作界の基盤を築きました。無量塔氏の作品が市場に出回ることはきわめて珍しく、歴史的にも価値のある貴重な逸品です。

堤 一朗

Viola 41.5cm(16.5 inch)
Ichiro TSUTSUMI
Cremona / Italy
2023

〜文京楽器でもおなじみのマエストロ堤一朗の新作ヴィオラ、初の入荷~
堤一朗氏はクレモナで活躍する日本人作家の最古参の一人。弦楽器製作者としてだけでなく、弓の製作も手がけるマルチプレイヤーなベテラン職人です。数々の国際コンクールでの受賞経験はもちろん、製作学校の教授として後進育成にも貢献されています。
本作品はストラディヴァリが製作した数少ないヴィオラの最高傑作、1672年製“Mahler”(マーラー)のモデルで製作されました。幅広のボディが生み出す、パワフルかつ堂々たる響きは、多くのヴィオリストに好まれることでしょう。


楽器のポテンシャルを最大限に引き出す、良質なヴィオラ・ボウ

ボディサイズにバリエーションが豊富なヴィオラにとって、楽器に合った弓を選ぶことはプレイヤーにとってとても重要です。オールド・フレンチボウの名職人には、ヴィオラ弓のスティックにアムレット材(蛇の目模様のない、スネークウッド)をあえて用いることで、より深みのある音色を実現しようとしていた様子もうかがえます。
楽器の個性に富んだヴィオラ同様、弓もまたそれぞれに魅力豊かな作品が存在します。ぜひ、楽器とあわせてお試しください。

<ヴィオラ・ボウ>

フランソワ・ペカット

Viola bow
Francois PECCATTE
Paris / France
ca1850

アンドレ・モリゾー

Viola bow
Andre MORIZOT “Louis Morizot Freres”
Mirecourt / France
ca1950

パスカル・カムラ

Viola bow
Pascal CAMURAT
Montpellier / France

堤 一朗

Viola bow
Ichiro TSUTSUMI
Cremona / Italy
2023

マルコム・テイラー

Viola bow
Malcolm TAYLOR
Barnstaple / England


コラム「ヴィオラ沼へようこそ」
 ~ヴィオラについてさらに詳しくなろう!~

 
 写真:『Les Nymphéas / Claude Monet 』from Wikimedia Commons
Column.1 ヴィオラは、ヴァイオリンの原点

ルネサンス時代後期には、ヨーロッパでヴァイオリン属の擦弦楽器(弓で弦をこすって弾く弦楽器)が器楽演奏に多く用いられるようになりましたが、それらのほぼすべては「ヴィオラ」と呼ばれ、サイズによって呼び名が異なっておりました。
たとえば、ヴィオラ・ダ・ガンバ(Viola da gamba)は「足のヴィオラ」、ヴィオラ・ダ・ブラッチョ(Viola da braccio)は「腕のヴィオラ」、そしてヴァイオリンもイタリア語ではヴィオリーノ(Violino)と呼びますが、意味は「小さいヴィオラ」です。
Column.2 ヴィオラにサイズの差がある理由

バロック時代になると、弦楽演奏は5声で構成されるようになり、中3声をヴィオラが担当するようになりました。初期のバロック音楽には小型のコントラルト・ヴィオラ(ボディ長40~43センチ)と、大型のテノール・ヴィオラ(ボディ長44~47センチ)が用いられた曲も多く、ヴィオラが重要なポジションを担っていたことがうかがえます。

後期バロック時代になると弦楽合奏は4声で書かれることが増え、ヴァイオリン2本、ヴィオラ1本、バス1本という編成が主流となります。この頃から、弦楽四重奏においてはコントラルト・ヴィオラがおもに用いられるようになり、現在のヴィオラの位置づけになったと考えられます。

このように、誕生当時は今よりも多くの種類が存在していましたが、作曲様式の変化にともない、ヴィオラは現在のフォーマットへと集約されていきました。しかし、サイズの大小だけはその後も残り、そこから生まれる音色と音量、操作性の違いは甲乙がつけがたく、プレイヤー一人ひとりの求める理想にあわせて選択されました。
Column.3 サイズと音量、弾きやすさの関係

ヴィオラ奏者においては、ライオネル・ターティス(1876年‐1975年)、パウル・ヒンデミット(1895年-1963年)ウィリアム・プリムローズ(1904年‐1982年)らがソリストとして有名ですが、それぞれがヴィオラに求めた理想の音色は異なります。
例えば、ターティスは43センチの大型ヴィオラを好み、チェロのような深い低音を追及。逆にプリムローズは、41センチの愛器アンドレア・グァルネリをもちいて、パガニーニ的な高音の美しさ、軽快な演奏性を実現しました。
サイズが大きくなれば、胴体の容積も広がるため、より大きな音量や響きが得られると考えられます。しかし、同時に発音の速さや操作性、音の指向性は引き換えとなります。このあたりは、それぞれのヴィオラ奏者が描く理想像によって、好みが別れるところでしょう。
余談ですが、海外ではヴィオラのサイズはインチで表記されることが多く、15.5インチ(≒39センチ)、16インチ(≒41センチ)、16.5インチ(≒42センチ)が、現在一般的なヴィオラのサイズとなります。

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