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17年3月ロンドン開催のオークション、最高落札額は約2億6千万円!



この最高落札額を記録したのは、”Ingles&Hayday”にて落札された、ストラディバリのEx-Croall; McEwen’1684年製。裏板一枚の美しい杢が黄金色に輝くバイオリンでした。

Croall氏は1822年スコットランド生まれの音楽家で、4本のストラディバリ・バイオリンをはじめ数多くの名器を所有していた収集家でもあった人物です。彼が亡くなると、このバイオリンはW.E.HILL商会を通じてMcEwen氏の手に渡ることになります。1908年当時、彼の娘キャサリンのために553ポンドで購入したものの、60年もの間、観客の前で演奏されることなく保管されていました。

写真:A.STRADIVARI, A VIOLIN CREMONA, 1684
from Auction Brochure "Ingles&Hayday", P.33 

それが1968年にオークションに出品され、幾度かの売買を繰り返したのち、1985年から5年間はFrank Peter Zimmermannによって、2006年から2年間はAlexander Gilmanによって、2011年から4年間はSuyoen Kimら、名だたるプレーヤー達によって演奏され、その甘美な音をわれわれに届けてくれています。




世界からロンドンへ集まる

17年3月にイギリス・ロンドンで開催されたオークション。毎年各国の著名ディーラーや収集家、演奏家たちが集まり、ストラディバリやガダニーニなどの名器から本場ヨーロッパならではの日本ではあまり見ることのできない各国・ 各時代の魅力的な楽器・弓まで、幅広い商材が一挙に介しました。

オークションハウス・Sotheby’sの弦楽器部門で活躍したTim.Ingles氏とPaul.Hayday氏らが2012年に設立した”Ingles&Hayday”は、伝統的なオークションスタイルを受け継ぎ、名器をはじめ質の高い作品を取り扱っています。また、Jason.Price氏が1999年に設立した”Tarisio”は、ディーラーのみでなく個人収集家や演奏家も参加しやすい工夫がなされており、ネット媒体も駆使した新しい時代のためのオークションを創り出した先駆者的存在です。オークションの開催時期は、それぞれのオークションハウスがほぼ同じ日程で下見会と入札日を設定しているため、参加者は1週間のうちに3-4つのオークションハウスを一度に訪れることができます。

展示・入札スタイルにオークションハウスの特徴が見てとれる

Ingles&HaydayやBROMPTON’sなど伝統的なスタイルのオークションハウスは、入札会場を設け、実物をその場で落札することができ、対面でしか味わうことのできない、競りの緊張感や参加者の真剣さがひしひしと伝わってきます。オークションハウスが設定したEstimate(見積り金額)を大幅に超え落札される瞬間などは、とてもエキサイティングです。

写真:Bidding Room ,Ingres&Hayday
Ingles&Hayday公式ホームページ
Brompton's公式ホームページ
https://tarisio.com
一方”Tarisio”は出品楽器の展示会のみの開催にとどめ、入札は全てネット上で行うスタイルを採用しています。ここでは顔を見られることなく自分の狙う楽器の入札ができ、プライバシーの観点からも個人が参加しやすい環境といえるでしょう。

また、”Tarisio”は全ての楽器がセットされた状態、試奏が可能な状態で展示されており、演奏家が実際に音を出して自分にあったポテンシャルかどうかを見定めやすいといえます。もちろん、楽器の価値はその真贋や健康状態、設計などの”物”によって決定されるといっても過言ではありませんが、”Tarisio”はよりオープンな市場を実現するべく、これまでにない新しい工夫を凝らすことで、個人の一般人を含むプレーヤーも多く参加しています。

写真:Viewing Room, Tarisio
Tarisio公式ホームページ 

楽器の真贋と状態を見抜く力が不可欠である


オークションへの参加手続きはいたってシンプルで、実は誰でも参加することが可能です。しかし、一部のオークションを除き全ての楽器が演奏できる状態で出品されているとは限らないため、楽器の健康状態について、様々な知識を基に識別できる専門的な能力が必要です。加えて、その楽器に信頼の置ける鑑定書が付随していたとしても、あらためて自身の経験と知識に基づき真贋を問う力が試されるのです。

写真:Viewing Room, Ingles&Hayday

概して盛況であった今回のロンドン・オークションですが、年々オールド楽器の相場が高騰していること、および状態の良い作品が少なくなってきていることが実情です。こうした中で、価値と演奏性の双方に優れた個体を選び、市場へ良質な楽器を届けることがわれわれバイオリン・ディーラーの使命とであると感じます。

今回も弊社スタッフが充分に吟味し厳選したオールド・モダンの楽器・弓を仕入れました。ご興味ある方は文京楽器までお問い合わせください。