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たった4挺の楽器が奏でる豊かで奥の深い音楽、それが弦楽四重奏。今回は、そのクァルテットという芸術に捧げられた音楽祭についてご紹介いたします。
去る1月27日から2月3日にかけて、第1回目の「クァルテット・ビエンナーレ・アムステルダム(String Quartet Biennale Amsterdam)」が、オランダ・アムステルダムのムジークヘボウホールにて開催されました。
String Quartet Biennale Amsterdam http://www.sqba.nl/?lang=en
8日間の会期中には、計31公演が行われ、コンサートやイベントで目白押しの会場にのべ1万人以上の聴衆が集いました。演奏者・指導者として、エマーソン弦楽四重奏団、ハーゲン弦楽四重奏団、カザルス弦楽四重奏団、ダネル四重奏団などのほか、国際コンクールで優勝した若手クァルテット5団体ら、ヨーロッパのみならず世界各地から参加した合計21団体の名前が並びました。
室内楽ではなく『弦楽四重奏』のみをテーマにしてこれだけの規模の大きさで開催されるフェスティバルは数少ないうえ、初開催でありながら13公演でチケットが完売するなどの盛況をおさめたことに聴衆や演奏家からは感嘆の声が上がりました。
曲のほとんどは弦楽四重奏ですが、中にはクァルテットのメンバーにソリストや他クァルテットの奏者が加わっての五重奏、八重奏なども演奏されました。エマーソン弦楽四重奏団とクレモナ四重奏団がショスタコーヴィチ「弦楽八重奏のための2つの小品」で共演し、強い連帯感のある一つにまとまった響きで聴衆を魅了しました。クレモナ四重奏団によるバルトーク「弦楽四重奏曲第3番」、続いてエマーソン弦楽四重奏団によるウェーベルン「弦楽四重奏のための6つのバガテル」が演奏されるなど、1度のコンサートで2団体の演奏がそれぞれに聴けるという機会も設けられました。クレモナ四重奏団にゲイリー・ホフマン(チェロ)が加わってのシューベルト「弦楽五重奏曲」、同クァルテットとホフマン、そしてローレンス・ダットン(エマーソン弦楽四重奏団のヴィオラ奏者)の六重奏でのシェーンベルク「浄夜」の演奏も鮮やかな印象を残しました。
演奏者自らが編んだプログラムの「Selected by」という、ファンにとっては聞き逃せないシリーズの他、合唱団や歌手、ダンサーやパーカッション奏者と弦楽四重奏のコラボレーションも披露されました。その合間にはトークイベントやマスタークラスが開かれ、出演者はもちろん、聴衆も大忙しです。
この音楽祭には、普段のクラシックの演奏会とは一味違う仕掛けが数多く用意されていました。最も特徴的なのは、深夜に及ぶ約6時間にわたるコンサート「Impossible Voyage」でしょう。大ホールの座席が取り払われ、戸張の中で演奏するクァルテットの姿が特殊なライトアップで浮かび上がり、その音楽に浸る……というかつてないスタイルの演奏会でした。ベートーヴェン、ブリテン、そしてショスタコーヴィチという3人の作曲家の作品を組み合わせたプログラムで、ベートーヴェンの第3番に始まり、第16番に終わる長い『旅』となりました。今後も、このように演奏会をひとつの特殊な体験として捉えた試みが続くのではと予感されます。
また、夕方の公演の前には、ロビーで若手クァルテットによるミニコンサートが連日のように開かれました。写真のように、クァルテットの周囲をコーヒーやワインを手にした聴衆がぐるりと取り囲み、リラックスして音楽を味わえる空間です。人の心に寄り添うような親密さのある『弦楽四重奏』という音楽のジャンルと、オープンな雰囲気で刺激的なフェスティバルという2つの要素の組み合わせが、ここに存分に生かされているように見えました。