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French Masters フレンチ・ボウの巨匠たち

2016年11月25日 金曜日 - 12月4日 日曜日
@ 文京楽器
フレンチ・ボウの巨匠たちの作品を揃えた展示会が終了しました。

プロのソリスト・オーケストラ奏者からアマチュアの音楽愛好家まで、数多くの皆様にご来場頂き、美観と機能を兼ね備えた名弓をご覧頂きました。

今回展示した弓は、一流のプレイヤーであるマイケル・ズーバー氏が蒐集したものだけあって、弓を試奏された時のお客様の満足度が高かったように思います。

また、フレンチ・ボウ発展の歴史とも言える1800年頃から1935年頃(フランス革命後〜第2次世界大戦前)までに製作された弓を一堂に会し展示したことで、共催者である我々もあらためて、それぞれの名弓の特徴とコンセプトと再認識することができ、大変勉強になりました。展示会のレポートとして、それらの特徴を記したいと思います。
トルテ時代
19世紀初頭に活躍したL.トルテやJ.ペルソワ、J.ユーリの作品は、それぞれ独創性が高く、個性的な弓でした。スティック材の外観も美しく高品質で、総重量は60g以下の軽いものばかりでした。スティックの反り形状が浅めなのも、この時期に製作された弓の特徴の一つです。実際に演奏してみると、それぞれが個性的かつ豊かな音色を持っていることに驚きました。
ペカット時代
ペルソワの弟子であったD.ぺカットは、F.トルテの後期の力強く角ばったヘッドを引き継ぎながらも、反り形状をやや深めにし、スティックを角弓から丸弓にすることで演奏性と音量を向上させました。今回展示したF.ペカットやJ.アンリ、シモンは、このペカット・モデルで製作されたものです。実際に演奏してみると音色は重厚に、操作性は大きく向上していくことを実感しました。濃い赤茶色のペルナンブコ材を多用しているのも、19世紀中頃に製作された弓の特徴の一つです。
ヴォアラン時代
19世紀後半の弓製作者であったF.N.ヴォワランはヘッドを小振りに、首元を細く反りを強化することで演奏性を向上させた概念の弓を生み出しました。今回展示されたヴォワランの弓は、ラッピングまでオリジナルのほとんど未使用の弓でしたので、当時の音楽の変遷を反映した演奏家の需要を着実に実現していった巨匠の工夫と努力を明確に再認識することができました。展示したウーシャ(父)の作品も、ヴォワランの概念に追随したものと言えます。やや明るめのスティック材が多用されているのもこの時期に製作された弓の特徴です。
サルトリー時代
ヴォワランの概念を更に発展させたのが、20世紀前半に活躍したE.サルトリーです。演奏性に加えて音量を追求した彼の作品のヘッドはやや大きくなり、スティックは太く、反り形状には工夫が見られます。実際に演奏してみると、音の安定性は抜群で、やはり彼がモダン・ボウの完成形を作ったのだと改めて思うに至りました。ウーシャ(息子)のチェロ弓も、サルトリーの概念に大きな影響を受けているのが、よく理解できました。
今回の貴重な経験をみなさまと共有できたこと、大変嬉しく思います。ご来場くださった皆様に、改めてお礼申し上げます。