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フィリップ・イーレ ~ 世界最高峰のレプリカ・バイオリン作家

Philip Ihle

2018年VSA国際バイオリン製作コンクールでゴールドメダルを獲得


2018年11月にアメリカ・オハイオ州クリーブランドで開かれた、世界の難関とされるVSAコンペティション(Violin Society of America violin making competition 2018)において、下馬評通りバイオリン部門でゴールドメダルを獲得しました。また、同時期に開催されていた21st century violins search(21世紀にふさわしいバイオリンを探すプロジェクト)においても最優秀の2本に選ばれました。

このプロジェクトは、インディアナポリス国際バイオリンコンクールの第10回開催を記念して企画されたもので、世界トップレベルのバイオリン製作家の作品45点から、最も音の良いバイオリンを選び出そうというもの。同大会の優勝者で、世界に誇る日本人ソリスト、竹澤恭子さんら優れたプレイヤーによる厳正なるブラインドテストによって選別は行われました。

今回選ばれた2本のバイオリンは、コンクール主催者によって買い上げられ、かのギンゴールドのストラディバリウスと共に、コンクールの上位入賞者に貸与される予定です。同時期に開催された異なるコンセプトのコンペティションで、同じ製作者の異なるバイオリンが最優秀に選ばれることは奇跡に近いこと。現在フィリップの製作する楽器の水準が、如何に高いものであるかを証明する出来事でした。

フロリアン・レオンハルトの工房で研鑽を積む

フィリップ・イーレは、イタリアでバイオリン製作を
学んだあと修理の修行を積み、ロンドンの著名ディーラー・フロリアン・レオンハルトの工房に入りました。レオンハルト氏の指導のもと、精巧なレプリカ・バイオリンを製作するプロジェクトに加わり功績を上げます。
7,8年前にモンドムジカ(毎年イタリア・クレモナで秋に開催されるバイオリン最大の見本市)で最初にそれらの楽器を見た時の衝撃を今でも忘れられません。それまでのレプリカ・バイオリンに比べて、全てが自然でまるで本物の名器を見ているようでした。文字通り、そのレベルの高さに息を飲みました。
いつかフィリップの製作したバイオリンを日本に紹介したい…と感じていました。

遂にオーダーが実現

時は流れて昨年のモンドムジカ。フィリップは同じく世界最高峰のバイオリン・メーカーのステファン・フォン・バウアーと共同ブースを出していました。展示されているバイオリンのレベルの高さに思わず興奮して、フィリップ
に注文を出したいと話しかけました。しかし、彼は基本的にはプレイヤーに直売で、ディーラーには売らないとのこと。「そこを何とか」と頼み込んでメールのやり取りを開始、熱意が通じて注文を受けてくれることになったのです。実は、フィリップの奥様は何と日本人で、現在もJ&A Beareで働く優れた修復者ムライトモコさん。今回は奥様の後押しがあったようです…

写真:Philip Ihle 2019 London , made after Guarneri Del gesu"Heifetz"

ロンドン市内にある洗練された工房


3月中旬のヨーロッパ出張では、オークションでの買い付けの合間を縫って、2013年に設立されたフィリップのロンドンにある工房を訪問。工房は広々としていて、彼の製作哲学が表現されているような場所。数多くの名器のスクロールの石膏モデルが、丁寧に棚に並べられているのが印象的で、名器に対する造形の深さと常に研究を欠かすことがない真摯な姿勢が感じられました。仕上がる直前の注文したバイオリンを見せてもらいつつ意見を交換しました。注文した楽器は、最終の仕上げを行ってから知り合いのプレイヤーに少々弾き込んでもらい、イースター休みに家族で日本への帰省する際に納品してくれることになりました。

渾身の作品がアジア初上陸

4月17日、文京楽器に本人自らが納品にやって来ました。フィリップ・イーレのバイオリン、アジア初上陸です。作品のモデルは、ガルネリ・デルジェス1741年製・EX.ハイフェッツ。文句なしの素晴らしい出来栄えです。現在世界中のディーラーでフィリップ・イーレの作品を扱っているのは、文京楽器だけ。ついに、フィリップの楽器を日本で紹介することが可能となったのです!

フィリップは私が尊敬する現代メーカーの一人。彼こそが21世紀のスーパー・モダン・バイオリン(今までの既成概念を塗り変えるような新作バイオリンのことを最近そう呼んでいます…)を牽引する旗手の一人であることは疑う余地がありません。
そんなフィリップのアジア初上陸のバイオリンを手にするのは一体誰になるのでしょうか…
(文:堀 酉基)
フィリップ・イーレ / Philip Ihle

クレモナでバイオリン製作を学ぶ。バイオリン製作の基礎を習得した後、スイスのWilhelmGeigenbauで修理技術を習得。その後は、ロンドンのフロリアン・レオンハルトに5年間に渡り研鑽を積む。当初は、修理スタッフとしてスタートしたが、名器のレプリカを製作することとなり、その卓越した作品群は世界的に賞賛を得た。フロリアンの工房を出たあと、2年間スイスのMark Wilhelmと共同で工房を運営、2013年10月に自身の工房IHLE VIOLINSをロンドンに設立した。妻は、J&A Beare工房の優れた修復家で日本人のムライトモコ。

 IHLE VIOLUNS      http://www.ihleviolins.com/