アルシェ

「品質の優れた日本発の新作楽器を世界に問いたい」、そんな文京楽器の夢を具現化したピグマリウスを発表して7年目。我々には忸怩たる思いがありました。それは良質な弓がマーケットに不足しており、我々の厳しい目で納得できる弓をなかなかお客様にお渡しできないことでした。
F.X.Tourte、D.Peccatteに代表されるオールド名弓はもちろん素晴らしいものですが、これらは当時から高価でした。また文京楽器が優れたモダン弓のひとつとして70年代より評価していたE.Sartoryも、当初20万円以下で販売していたものが、次第にその真価が認知されるや、たちまち数倍に値上がりしていました。これは品質の優れた新作弓が欠如していたことの裏返しでもあったのです。
「よし、我々が世界一の弓を作ろう」
大瀬国隆プロフェッショナルがコンサートに使える弓。それも酷使できないオールド弓と違い、心置きなく演奏を楽しめる健康な新作弓。我々はそんな高いハードルを自らに課しました。以降、フランス、ドイツから弓製作ルチェー、弓製作マイスターを招いて弓製作の真髄を学び、試作品が出来上がるたび、文京楽器のお客様である一流演奏家の方々にご意見を伺いました。職人の傍には、常に文京楽器が取り扱うオールド~モダンの名弓の数々があり、それが最高のお手本となっていたことは言うまでもありません。
それから20年あまり。今やアルシェは名実共に世界のトップブランドとしての評価を受けています。しかし我々のあくなき挑戦は終わりなきものとして、これからも続いていきます。
