ヴィオラ選びで特に重要なポイントは何ですか?
「イタリアントーンだとかそういうのはヴァイオリンと同様、ヴィオラにも存在するんだよね。ただ、買うときに、音だけで選んでしまうと後から困ることとしては、弾きこなせない大きさのヴィオラを選んでしまう危険性があること。
ヴィオラの大きさは千差万別だから、音だけで入ると危険なんだよ。どれだけ音が良かったって、自分が弾きこなせなければ意味がないわけで、そういう意味では、楽器を選んでいて音が良いな、と思ったときは、弾きこなせるサイズかどうかを良く確認した方が良いね。
僕が目安にするのは、A線のファーストポジションでシを人差し指で押さえ、ミを小指で押さえる。この状態から、ミの音を小指、薬指、小指、薬指とスムーズに入れ替えることができるかどうかでだいたい判断できる。」
ヴィオラの場合、絶対音量を得るためにはある程度の大きさが必要と言われています。多少無理してでもなるべく大きいものを、ということはお考えになりますか?
「うん、それは確かにそうなんだけど、重要なのは厚さ。ボディサイズが大きくなくても、リブ(横板)が高くて容積が大きければ、十分な音量を得られる場合も多いんだよ。
あとは、ヴァイオリンで理想とされる、適度にフラットなアーチとはちょっと違ったところで、ヴィオラ特有の良い音がするアーチというのがあると思うんだよね。ヴィオラの場合、ボーッという音が少し入っていないといけない。しかし、それがあまり入りすぎると、今度は音が通らなくなる。その辺を見極める、聞き分けるのは耳ということになるんだけど。」
製作年代の古さについては如何でしょうか。
「それはもう、練れた音になるかどうかというところで、古いに越したことはないよ。同じような楽器なら、いくらやったって新しい楽器で古い楽器には勝てない。ディミヌエンドをずーっとしていくと、最後には音が出なくなってズズズズ…となるところがあるよね。その幅は古い楽器の方が断然あるよね。だから、音楽的な表現力ということを考えると、どうしても古い楽器の方に向いてしまうね。」
ヴィオラは音域や音色の両面で、音が通りにくいという永遠のテーマがあると思いますが、そこをどう解決されますか?
「楽器そのもの以外では、弦で考えるね。太くて良い音で、最大限の音量を得られる銘柄を考える。僕は例えばコンチェルトを弾く場合にはスチール。スピロコアを使っているよ。
スチールは、純粋な音色ではガットに劣るかもしれないけど、周りから良い音だな、と言われるための絶対条件として、実は音が向こうに聞こえていなければいけないんだよね。『どうだ、ガットの素晴らしい音色だぞ』と自己満足していても実は意味がないんだよ。
ヴィオラの場合はスチールを使った方が、経験則から言えば音が通るし、結果として音を褒められることも多かった。」